パーゴラ




sunflower

「パーゴラ、それも白い屋根のパーゴラ、見たのよ!ママ。」

娘の葉子は息せき切って、家へ駆け込むなり、そう、叫んでいた。

「屋根が白いパーゴラをみたの?何処で?」

「ほら、いつか行ったDIYのお店があるでしょう?あのDIYのお店の前を通ってゆく道があるの知ってる?そのずっと先の四つ角のところ。」

「まあ、そうなの。そのパーゴラって、自作のようだった?」

「ううん・・・分からない。でも、自作かもしれないわね。
だって、この前、DIYの人が言ってたじゃない?「このパーゴラのキットなら、
作り方付ですからお嬢様にも簡単に作れますよ。」って。」


私たちがパーゴラのある家に憧れをもち始めたのは、何時のことだったろうか?

娘の葉子は、
「大きくなったら、絶対にパーゴラのある家に住むのだ。」と口癖のように言っていた。

そして、若い女の子には珍しく、DIYのショップへ行くと決って材木売場へ行っては、
パーゴラになりそうな素材を探しまわるのだった。

「ねえ。この材木とこのラティスを組み合わせれば、洒落たバーゴラが出来るんじゃない。」
などという言葉からは、自作をしてでもパーゴラのある家に住みたいという意気込みが伺えた。

wooddeck 「(アースカラー)も好いけれど、やはり、ブラウン系より、白が良いわよね。 でも、ダークグリーンも捨てがたいな。ダークグリーンのパーゴラって、カシニヨールの絵に出てくるパーゴラみたいですもんね。

確かに、パーゴラはカシニヨールの絵のモチーフによく使われている。

「でもね、葉子、パーゴラだけじゃ、ダメなんじゃないの、どんなお家なのかによって違うでしょう?合うパーゴラが。やっぱりお家が主で、パーゴラは従なんじゃない?」

「そんなことないわよ。イングリッシュガーデンのようなところにパーゴラがあったら、パーゴラだけで、立派なもんよ。パーゴラは主になりますよ。やっぱり好いな。パーゴラ。イングリッシュガーデンだったら円形のパーゴラかな?」
「ねぇ、ママ。どう思う?円形のパーゴラ。あ、そうか、六角形のパーゴラも、良いかもしれない。

そう言えば、美佐子ったら、おかしいのよ。」
そう言うと、葉子は突然笑い出した。

「何が?どうしたの?」

「だって、美佐子、この前、パーゴラを見て、「吊り棚」なんて言うから、私が、違うわよ。 「パーゴラ」って言うのよ。と言ったら、「ふーん、バーゴラって云うの?」ですって。

「バーゴラ」じゃなくて「パーゴラ」、分かった?って言ったら、「バーゴラじゃなくてパーゴラ」

はい。了解。ようするに、パーなんだ。ですって。」


「あなた達ときたら、いつも話が尽きないと思ったら、そんなこと話しているの。」

葉子は、しまった。というような顔をすると、自分の部屋へ、戻って行った。

おかしな子。でも、こうして、パーゴラの話をしていられるのも、何時までだろう。

やがては、葉子も花嫁さんになるだろう。そして、その時、葉子が住む家にパーゴラはあるのだろうか?


⇒ パーゴラ(美佐子の独り言)
ご意見、ご感想は ⇒こちら